ペアローンの住宅ローン控除
結論からいうと、ペアローンでは二人がそれぞれ自分の借入について住宅ローン控除を計算します。そのため住宅区分の年限度額と税額上限も各人へ別々に適用され、世帯では一人で借りる場合より大きな控除枠を持てることがあります。ただし、年収が低い側は所得税と住民税の上限が小さく、枠を使い切れない場合があります。
上限が二人分になる理由
ペアローンは本人と配偶者がそれぞれローン契約を結び、それぞれ債務者になります。控除の計算でも、各人の年末残高、持分に応じた物件価格、所得税、住民税上限を別々に判定します。単に世帯の借入総額へ控除率を掛ける計算ではありません。
新築の省エネ基準適合住宅で一般の対象者なら、各人の年限度額は140,000円です。二人とも要件を満たし、それぞれ十分な年末残高と税額があれば、世帯の枠は計算上280,000円まで広がります。ただし実際の控除は各人の年末残高等の0.7%、年限度額、税額のうち最も小さい制約で決まります。
年収差がある世帯の計算例
本人の年収を600万円、配偶者の年収を300万円とし、それぞれ2,000万円を借り、持分を半分ずつにします。新築の省エネ基準適合住宅、金利0.8%、期間35年、物件価格4,000万円、社会保険料は各年収の15%で計算します。
| 項目 | 本人 | 配偶者 | 世帯 |
|---|---|---|---|
| 初年の控除 | 136,500円 | 53,000円 | 189,500円 |
| 期間合計 | 1,492,400円 | 689,000円 | 2,181,400円 |
配偶者側は年末残高から作られる控除枠があっても、所得税と住民税で引ける額が小さければ使い切れません。借入を半分ずつにすれば必ず控除が最大になるとは限らない理由です。将来の収入変化は確定できないため、現在の税額だけで負担割合を決めず、返済能力と所有関係を含めて検討します。
持分と借入の負担割合
ツールでは各人の借入残高を各人の持分価格で頭打ちします。物件価格4,000万円で持分が半分なら、各人が控除計算に使える物件価格側の上限は2,000万円です。一方が持分を超える借入を負担しても、超えた部分をそのまま控除対象にする計算にはなりません。
- 売買契約と登記の持分を確認します。
- 各人の実際の借入額を確認します。
- 頭金を誰が負担したかも整理します。
- 持分と資金負担が大きくずれる場合は税務上の扱いを専門家へ確認します。
住宅ローン控除だけを最大化しようとして、実際の資金負担と異なる持分を設定するのは避けるべきです。SumaiToolsは控除額の試算を行いますが、贈与に当たるかなど個別の権利関係は判断しません。
連帯債務との違い
連帯債務では一本のローン残高を負担割合で分け、その後に各人の持分価格で頭打ちします。ペアローンでは各人に別のローン残高があります。したがって入力する数字と年末残高の分け方が異なります。
| 比較点 | ペアローン | 連帯債務 |
|---|---|---|
| ローン | 各人に一本ずつ | 世帯で一本 |
| 残高の計算 | 各人の契約残高 | 一本の残高を負担割合で分ける |
| 物件価格の上限 | 各人の持分価格 | 各人の持分価格 |
| 税額上限 | 各人ごと | 各人ごと |
どちらも二人分の控除を自動的に保証するものではありません。各人が制度の要件を満たし、実際に負担する債務があり、所得税と住民税から控除できることが必要です。金融機関の契約書と年末残高証明書に合わせて借り方を選んでください。
比較で見るべきポイント
世帯合計だけでなく、本人と配偶者それぞれの初年、期間合計、使い切れない額を見ます。年収差が大きい場合は、年収の低い側の税額上限が先に効く可能性があります。持分を変えた比較では、物件価格による頭打ちも同時に変わります。
返済条件、持分、負担割合は控除以外にも影響する重要な契約条件です。控除の試算は比較材料の一つにとどめ、金融機関、司法書士、税務署や税理士へ契約前に確認してください。
一人で借りる場合との比較
世帯の借入総額を同じにして、一人で借りる場合とペアローンを比べると、控除限度額だけでなく税額上限の配分が変わります。高い年収の一人へ借入をまとめると、その人の税額を使いやすい一方、住宅区分の年限度額は一人分です。二人へ分けると年限度額は各人へ適用されますが、年収が低い側で使い切れない可能性があります。
比較では世帯合計に加えて、各人の使い切れない額を見ます。年限度額で止まったのか、所得税と住民税で止まったのか、持分価格で止まったのかを分けると、借入配分を変えた結果を説明できます。
返済中に収入が変わる場合
試算は各人の年収と所得控除が期間中同じ前提です。休業や働き方の変更で一方の所得税が減ると、その人の控除を使い切れなくなる場合があります。将来の収入を正確に予測することはできませんが、低い年収の条件も作って差を確認できます。
収入減少時にも各人の返済義務は契約に従います。控除額が減ることと毎月返済額が減ることは連動しません。返済負担をどちらが担うか、万一の保障がどうなるかは金融機関の商品説明で確認してください。
諸費用と手続も含める
ペアローンは契約が各人に分かれるため、事務手数料や登記、団体信用生命保険などの扱いが一人で借りる場合と異なることがあります。住宅ローン控除の差だけでなく、契約時の諸費用と返済期間全体の費用を比較します。
連帯債務や連帯保証との名称は似ていますが、債務の持ち方と控除計算が同じとは限りません。年末残高証明書が各人へどのように発行されるか、申告に必要な書類、負担割合の確認方法を契約前に金融機関へ質問してください。
出典
制度と計算条件は更新日時点で確認しています。