変動金利と固定金利はどっちが得か
結論は、変動と固定のどちらが得かは将来の金利経路で変わり、契約時点では確定しないということです。固定金利は返済額を確定する性格があり、変動金利は当初金利が低くても上昇を引き受けます。比較では当初の毎月額だけでなく、同じ借入額と期間の総返済額を見ます。
三つのシナリオで総返済額を比較
借入額4,000万円、期間35年、変動の当初金利0.9%、固定金利2%、変動は5年ルールと125%ルールありで試算します。上昇なし、毎年0.1%ずつ10年上昇、3年後に2%上昇の三条件です。
| シナリオ | 変動の総返済額 | 固定の総返済額 | 変動と固定の差 |
|---|---|---|---|
| 上昇なし | 46,644,881円 | 55,651,862円 | -9,006,981円 |
| ゆるやかに上昇 | 52,621,192円 | 55,651,862円 | -3,030,670円 |
| 急に上昇 | 61,777,629円 | 55,651,862円 | 6,125,767円 |
差がマイナスなら、その条件では変動の総返済額が固定より小さいことを表します。差がプラスなら固定より大きい試算です。これは将来予想ではなく、入力したシナリオを機械的に返済表へ当てはめた条件比較です。
上昇なしで変動が小さくなる理由
金利が上がらなければ、当初金利が低い変動は毎月の利息が小さく、元金へ回る割合が大きくなります。早い時期に元金が減るため、その後の利息計算の基礎も小さくなります。この条件では固定金利の安心に相当する金利差を支払う形になります。
ただし、現実の変動金利が上昇しないと保証する計算ではありません。また、実際の商品には事務手数料、保証料、団体信用生命保険の上乗せ、優遇金利の条件などがあります。表は金利と返済だけを同じ条件で比べています。
上昇の時期が総返済へ与える影響
金利上昇が早いほど、大きな残高へ高い金利がかかる期間が長くなります。遅い上昇では、すでに元金が減っているため同じ上昇幅でも追加利息が小さくなりやすいです。したがって最終的な金利だけでなく、いつ、どの程度ずつ上がるかが重要です。
5年ルールがある場合、適用金利が上がっても毎月返済額はすぐに変わらないことがあります。その期間は利息割合が増え、元金の減りが遅くなります。返済額だけでなく年末残高を見ないと、上昇の影響を過小評価する可能性があります。
損益分岐の考え方
損益分岐は一つの将来金利ではなく、毎月の金利と残高の組み合わせで決まります。実務的には、上昇幅や上昇開始時期を少しずつ変え、変動の総返済額と固定の総返済額の差がゼロに近づく条件を探します。
- 同じ借入額と返済期間にそろえます。
- 変動の上昇開始時期と上昇幅を変えます。
- 返済額見直しルールの有無を契約に合わせます。
- 総返済額の差と最大毎月返済額を同時に見ます。
- 手数料や保険条件は別途加えて判断します。
損益分岐だけで選ぶと、途中の家計負担を見落とします。総返済額が近くても、変動は返済期間中に毎月額が増える可能性があります。固定は初めから高い返済額でも、将来の返済額を把握しやすい性格があります。
どちらを選ぶかの整理
変動を検討するときは、最大返済額まで上がっても家計が耐えられるか、預貯金で繰上げ返済や借り換えを検討できるかを確認します。固定を検討するときは、金利差を払って返済額を確定する価値が家計にあるかを確認します。
収入、支出、教育費、修繕費などはこのツールでは予測しません。比較結果は金利上昇への感応度を知るために使い、将来の金利を当てる数字として使わないでください。契約条件は金融機関の商品説明書で確認し、優遇終了条件も含めて比較します。
毎月額と総返済額を分けて見る
固定金利は返済開始時から毎月額が高くても、その額を家計へ織り込みやすい特徴があります。変動金利は当初の毎月額を抑えられても、上昇後の最大返済額を受け入れられるかが重要です。総返済額が小さいシナリオだけを選び、途中の資金不足を見落とさないようにします。
年ごとの表では、同じ年の返済額と年末残高を確認します。返済額がルールで抑えられている間に残高の減りが遅くなると、将来の利息へ影響します。最終回に一括返済が表示される条件では、毎月額の比較だけでは必要資金を把握できません。
比較条件をそろえる方法
変動と固定は借入額、返済期間、返済方法をそろえます。固定側だけ期間を短くしたり、変動側だけ手数料を除いたりすると、金利方式以外の差が混ざります。団体信用生命保険の保障内容が異なる場合も、金利差だけの表とは別に評価します。
繰上げ返済を予定するなら、実行時期と金額を両方の候補で同じにして再比較します。借り換えを選択肢にする場合は、その時点の残高、残り期間、諸費用を借り換えツールへ移します。選択肢を持てることと、将来必ず有利な条件で借り換えられることは別です。
家計側の判断軸
金利上昇時にも貯蓄を取り崩さず返せるか、収入が一時的に減っても返済を続けられるか、固定の金利差を安心の費用として受け入れられるかを整理します。数値の大小と心理的な好みを分けて書き出すと、どちらのリスクを選ぶかが明確になります。
出典
制度と計算条件は更新日時点で確認しています。