繰上げ返済 期間短縮型と返済額軽減型の比較
結論は、同じ時期に同じ金額を繰り上げるなら、毎月返済額を維持する期間短縮型の方が利息を減らしやすく、返済額軽減型は毎月の負担を下げる目的に向くということです。ただし、手元資金や住宅ローン控除も含めると、利息軽減額だけで決めることはできません。
二つの方式を同じ条件で比較
残高3,000万円、金利1%、残り期間30年、3年後に300万円を一度繰り上げ、手数料0円で試算します。
| 項目 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 利息と手数料を引いた効果 | 865,838円 | 424,466円 |
| 返済期間 | 320か月 | 360か月 |
| 短縮期間 | 40か月 | 0か月 |
| 繰上げ後の毎月返済 | 96,491円 | 85,922円 |
期間短縮型は当初の毎月返済額を保ち、元金を前倒しで減らして完済時期を早めます。利息がかかる期間も短くなるため、利息軽減効果が大きくなりやすい方式です。
返済額軽減型は残り期間を変えず、繰上げ後の残高から毎月返済額を計算し直します。利息は減りますが、返済期間を残すため、期間短縮型より利息軽減が小さくなる傾向があります。その代わり、毎月の固定支出を下げられます。
期間短縮型が合う目的
完済年齢を早めたい、総利息をできるだけ減らしたい、現在の毎月返済額を続けても家計に余裕がある場合に比較しやすい方式です。繰上げ時期が早いほど、大きな残高へ利息がかかる期間を減らせます。
ただし、一度元金へ入れた資金は生活費へ戻せません。教育費、修繕費、病気や収入減少への予備資金を残す必要があります。短縮できる期間が大きくても、手元資金が不足するなら家計全体では安全とはいえません。
返済額軽減型が合う目的
毎月の支出を下げたい、収入減少や支出増加へ備えたい、返済期間は変えずに家計の余裕を増やしたい場合に向きます。軽減された毎月額を貯蓄へ回せるなら、流動性を確保しやすくなります。
総利息だけを比べると期間短縮型が有利でも、家計の目的が毎月負担の低下なら返済額軽減型の効果は明確です。何を減らしたいかを、利息、期間、毎月額の三つに分けて選びます。
繰上げを急がない方がよい場合
住宅ローン控除の期間中は、繰上げ返済で年末残高が減ると、年末残高等の0.7%で計算する控除枠も減る可能性があります。ローン金利が0.7%未満なら、単純な表面金利と控除率の比較では控除減少が利息軽減を上回る場面も考えられます。
ただし、控除率どおり使えるとは限りません。住宅区分ごとの年限度額、所得税、住民税上限があるためです。控除枠を使い切れていない人は、年末残高が減っても実際の控除額が同じ場合があります。繰上げ前後の年末残高を住宅ローン控除ツールへ入れて比較してください。
- 生活費と緊急資金が不足する場合は急がない判断があります。
- 近い時期に住宅修繕や大きな支出がある場合は現金を残します。
- 繰上げ手数料がある場合は利息軽減額から差し引きます。
- 住宅ローン控除中は控除の減少も同じ期間で比べます。
比較するときの注意点
ツールは元利均等返済を月ごとに計算します。繰上げ額を元金へ充て、期間短縮型は毎月額を維持し、返済額軽減型は残高と残り期間から毎月額を再計算します。金融機関の実際の処理日、手数料、最低金額、端数処理とは差が出る場合があります。
毎年同じ額を繰り上げる設定では、手数料も繰上げのたびに加えます。繰上げ額が残高を超える場合や、完済が近い場合は実際の金融機関の完済手続を確認してください。比較結果は返済予定表と照合して使います。
繰上げる時期による違い
同じ金額なら早く元金を減らすほど、その後に利息がかかる残高と期間を減らせます。そのため一般には早い繰上げの方が利息軽減は大きくなります。ただし、早さだけを優先すると手元資金と住宅ローン控除への影響が大きくなります。
実行時期を今、数年後、控除期間の後というように変え、利息軽減額と控除の変化を並べます。金利が低い期間に現金を確保する価値と、元金を減らす価値は世帯の支出予定によって異なります。
手数料と実行回数
繰上げ手数料が定額なら、小さな金額を何度も実行するほど手数料合計が増えます。毎年繰上げる設定では、同じ手数料を実行回数分だけ差し引くため、一回にまとめる場合との違いを確認できます。
金融機関によってインターネット手続と窓口手続の手数料、最低繰上げ額、実行日が異なります。契約の条件を確認し、無料と確認できた場合だけ手数料をゼロにします。保証料の返戻などはこの計算へ含めていません。
結果を選択へつなげる
期間短縮型では短縮できる月数を完済年齢へ置き換えて考えます。返済額軽減型では下がった毎月額を、貯蓄や他の支出へどう回すかを決めます。目的が曖昧なまま利息軽減額だけを比べると、実行後の家計改善につながりにくくなります。
繰上げ後にも金利上昇が不安なら、減った残高と残り期間を金利上昇ツールへ入れます。繰上げ返済と固定への借り換えを比べる場合は、借り換え諸費用も含め、同じ比較時点からの総支出にそろえます。
出典
制度と計算条件は更新日時点で確認しています。