火災保険の補償の選び方と加入する時期

更新日: 2026.10.19・SumaiTools 運営事務局

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結論からいうと、火災保険は補償の名前より先に、何を守るか、いくらまで守るか、どの災害を守るかの3点を決めると選びやすくなります。加入の時期は物件の引き渡し日が基準です。住宅ローンを使う場合は、金融機関が求める条件も契約前に確認します。

この記事では保険会社の比較や保険料の水準には触れません。補償の組み立て方と手続きの順番を、日本損害保険協会、財務省、住宅金融支援機構の資料に沿って整理します。

建物と家財は別々に契約する

火災保険は、建物と家財を分けて契約する仕組みです。建物だけ契約して家財を付け忘れると、火事で家具や家電を失っても家財の分は補償されません。反対に賃貸住宅では、建物は家主が契約し、入居者は家財だけを契約するのが基本です。

対象含まれるものの例決めること
建物柱、屋根、壁、作り付けの設備保険金額と補償する災害
家財家具、家電、衣類保険金額と補償する災害

家財に高額な貴金属や美術品があるときは、契約時に保険会社へ申し出ないと保険金が支払われない場合があります。購入した住まいへ持ち込む物を一度書き出しておくと、家財の保険金額も決めやすくなります。

マンションでは、火災保険で自分が契約するのは主に専有部分です。廊下や外壁などの共用部分は管理組合が契約していることが多いため、重要事項説明や管理規約で共用部分の保険の有無を確認してから専有部分の補償を決めます。

保険金額は再調達価額か時価で決める

保険金額の決め方には、再調達価額をもとにする方法と、時価をもとにする方法があります。再調達価額は同じ建物を建て直したり、同じ物を買い直したりするのに必要な金額です。時価は再調達価額から、年数の経過や使用で減った価値を差し引いた金額です。

決め方全焼したときの考え方
再調達価額建て直しに必要な金額が支払われる
時価消耗分が差し引かれ、建て直しの資金が不足することがある

時価で契約する場合も、保険金額を時価より低く設定すると損害額の全額が補償されない場合があります。逆に、評価額を超える保険金額を設定しても、損害額を超えて支払われるわけではありません。保険金額は物件の評価額に合わせることが基本です。

住宅ローンを使うときは金融機関の条件も重なります。たとえば【フラット35】では、保険金額を融資金の残額以上とし、残額が建物の評価額を超える場合は評価額と同額にすると案内されています。借入額だけで決めるのではなく、評価額と借入条件の両方を見て決めます。

補償する災害を選ぶ

火災保険は名前に火災と付いていますが、補償の対象は火災だけではありません。日本損害保険協会の整理では、住まいの火災保険は、幅広く補償する総合型と、基本的な補償に絞った基本型に大きく分かれます。

補償基本型総合型
火災、落雷、破裂・爆発対象対象
風災、ひょう災、雪災対象対象
水災対象外対象
水濡れ、物の飛来・衝突対象外対象
盗難対象外対象

実際の商品では、ここから必要な補償を選んで外したり付けたりできるものが多くあります。補償の範囲が広がるほど負担も変わるため、住まいの場所と建物に合わせて必要な補償を見極めることが大切です。風災や水災には一部を自己負担とする条件が付く場合もあるので、支払われる条件まで確認します。

水災はハザードマップで判断する

水災の補償を付けるかどうかは、感覚ではなく地図で判断します。国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、住所から洪水、土砂災害、高潮、津波の想定を重ねて確認できます。日本損害保険協会の2025年12月の意識調査では、水災補償を付けていない人の理由で最も多かったのは、自宅周辺で水災が起きる可能性が低そうだから(54.9%)でした。その判断理由の最多は海や河川から離れているからです。

ところが同じ調査では、水災被害の上位に内水氾濫が挙がっています。内水氾濫は、下水道や水路が雨水を流しきれずにあふれる浸水で、海や川から離れた場所でも起こります。マンションの高層階のように浸水の影響を受けにくい住まいでも、建物の立地や家財の置き場所を見てから判断してください。

隣家からのもらい火は自分の保険で備える

失火の責任に関する法律では、失火した人に重大な過失がなければ、民法の損害賠償の規定は適用されないとされています。隣家の火事が燃え移っても、相手から賠償を受けられない場合があるということです。自分の住まいは自分の火災保険で守る、という前提で補償を考えます。

地震保険は火災保険とセットで考える

火災保険では、地震を原因とする火災や、地震で燃え広がった損害は補償されません。地震、噴火、津波による損害に備えるのが地震保険です。地震保険は単独では契約できず、火災保険に付ける形で契約します。

項目財務省の制度概要
対象居住用の建物と家財
保険金額火災保険の保険金額の30%から50%
上限建物5,000万円、家財1,000万円
保険期間1年、または2年から5年

地震保険は修理費の実費を払う仕組みではありません。損害の程度を全損、大半損、小半損、一部損に分け、地震保険の保険金額に対する割合で支払われます。

損害の程度支払われる額
全損保険金額の100%
大半損保険金額の60%
小半損保険金額の30%
一部損保険金額の5%

建て直しの費用全額を賄う保険ではなく、被災後の生活を立て直すための資金と考えると位置づけが分かりやすくなります。すでに火災保険を契約していても、契約期間の途中から地震保険を付けられます。

加入する時期は引き渡し日が基準

物件を購入したら、補償が始まる日を引き渡し日に合わせます。引き渡しの後に補償の空白ができないよう、残代金の決済日が決まった段階で見積もりと申し込みを進めます。

時期やること
売買契約の後ローンの条件で火災保険の要件を確認する
決済日が決まったら補償内容を決めて見積もりを取る
決済の前補償開始日を引き渡し日にして申し込む
引き渡しの後保険証券を受け取り、金融機関へ提出が必要か確認する

住宅ローンを使う場合、融資の条件として火災保険への加入を求められることがあります。【フラット35】では返済が終わるまで火災保険に加入し続ける必要があり、更新の手続きをしないと住宅ローン契約の違反として残額の一括返済を求められると案内されています。民間の住宅ローンの条件は金融機関ごとに異なるため、借入先の案内を確認してください。

新築の注文住宅では、建物の完成と引き渡しの時期に合わせます。工事中の建物の扱いは住宅会社との請負契約で確認し、引き渡しの日から自分の契約が始まるようにします。

契約期間と更新の時期

火災保険の契約期間は1年から選べ、長期の契約もあります。損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率を適用できる期間を最長10年から最長5年に短くしており、現在の住まいの火災保険は5年までの契約が一般的です。

住宅ローンの返済期間は35年などと長いため、火災保険は途中で何度か更新することになります。満期の案内が届いたら、補償内容をそのまま続けるか、見直してから続けるかを決めます。

見直す時期確認すること
満期の前補償する災害と自己負担額が今の住まいに合っているか
増改築をしたとき建物の評価額と保険金額
家財が増えたとき家財の保険金額と高額品の申し出
住宅ローンを借り換えたとき新しい借入先の火災保険の条件

地震保険を付けている場合は、確定申告や年末調整で地震保険料控除を受けられる場合があります。控除の証明書は保険会社から届くので、更新の後も保管しておきます。

見積もりを取る前に決めておくこと

  • 建物と家財のどちらを、またはどちらも契約するかを決めます。
  • 建物の構造、延床面積、築年数を売買契約書や重要事項説明書で確認します。
  • 保険金額を再調達価額と時価のどちらで決めるかを確認します。
  • ハザードマップで水災と土砂災害の想定を確認します。
  • 地震保険を付けるかと、付ける場合の保険金額の割合を決めます。
  • 補償開始日を引き渡し日に合わせます。
  • 住宅ローンの借入先が求める保険金額と期間を確認します。

同じ条件で複数の見積もりを並べると、補償の違いを比べやすくなります。条件がそろっていない見積もりどうしを比べると、補償が少ない方を選んでしまうことがあります。

購入諸費用ツールでは、火災・地震保険の金額をスライダーで入れて、物件価格以外に必要な現金の合計を試算できます。最初は目安の金額で計算し、見積もりが出たら実際の金額に置き換えてください。

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出典

制度と計算条件は更新日時点で確認しています。

この記事は一般的な解説です。個別の契約、融資、税務は金融機関、税務署、自治体、専門家へご確認ください。