住宅ローン控除でいくら戻るか 年収別に比較
結論は、同じ住宅と借入額でも年収によって実際に引ける住宅ローン控除額が変わる、ということです。年末残高から作られる控除枠に加え、所得税額と住民税の控除上限があるためです。借入額が大きいほど必ず全額使えるわけではありません。
年収別、借入額別の試算
新築の省エネ基準適合住宅、金利0.8%、返済期間35年、物件価格は借入額と同額、社会保険料は年収の15%、その他の所得控除なしで計算します。入居年は2026年、特例対象個人ではない前提です。
| 年収 | 借入額 | 初年の控除 | 期間合計 |
|---|---|---|---|
| 400万円 | 3,000万円 | 112,000円 | 1,456,000円 |
| 400万円 | 4,000万円 | 112,000円 | 1,456,000円 |
| 500万円 | 3,000万円 | 140,000円 | 1,818,700円 |
| 500万円 | 4,000万円 | 140,000円 | 1,820,000円 |
| 600万円 | 3,000万円 | 140,000円 | 1,818,700円 |
| 600万円 | 4,000万円 | 140,000円 | 1,820,000円 |
| 800万円 | 3,000万円 | 140,000円 | 1,818,700円 |
| 800万円 | 4,000万円 | 140,000円 | 1,820,000円 |
控除枠と戻る額は同じではありません
年ごとの控除枠は、年末残高等の0.7%と省エネ基準適合住宅の年限度額140,000円の小さい方です。年末残高等は返済後の残高と物件価格の小さい方です。この段階で借入額の全額が計算対象になるとは限りません。
次に、控除枠を所得税から引きます。所得税で残った分は住民税から引けますが、課税総所得金額等の5%と97,500円の小さい方が上限です。控除枠から所得税と住民税で実際に引いた額を差し引いた残りは、その年に使い切れない額です。
- 年末残高が減ると控除枠も少しずつ下がります。
- 住宅区分ごとの年限度額を超えた部分は控除枠になりません。
- 所得税が少ない年は、住民税上限まで使っても残る場合があります。
- 年収だけでなく社会保険料やその他の所得控除でも税額は変わります。
借入額を増やしても戻る額が増えない理由
借入額を3,000万円から4,000万円へ増やすと、年末残高は増えます。しかし、この住宅区分には年限度額があります。さらに本人が納める所得税と住民税上限が控除枠より小さければ、実際の控除は税額側で止まります。
このため、住宅ローン控除だけを理由に借入額を増やす判断はできません。増えた借入には利息と返済負担が伴います。控除は返済能力を増やす制度ではなく、要件を満たす住宅取得者の所得税などを一定範囲で減らす仕組みとして比較する必要があります。
合計額を見るときの注意点
表の期間合計は、給与、社会保険料、その他の所得控除が各年同じと仮定しています。実際には給与や家族状況が変わることがあります。返済開始も入居年の年初とする簡略化です。初年の正確な年末残高は金融機関が発行する残高証明書で確認してください。
繰上げ返済をすると年末残高が減り、控除枠も下がる可能性があります。一方、繰上げ返済には利息を減らす効果があります。控除の減少だけ、または利息の減少だけで決めず、同じ返済条件で両方を試算するのが比較しやすい方法です。
自分の条件で確認する方法
まず売買契約書や性能証明書から、新築か中古か、性能区分、床面積、物件価格を確認します。次にローン契約の借入額、金利、返済期間を入力します。最後に年収、社会保険料、その他の所得控除を源泉徴収票などから確認します。
表示された年ごとの表では、年末残高、控除枠、所得税から引く額、住民税から引く額、使い切れない額を順に見ます。合計額だけでなく、どの制約で止まったかを確認すると、借入額が違っても結果が同じになる理由を理解できます。
初年の控除を読む順番
初年の行では、まず年末残高が借入元金より減っていることを確認します。次に物件価格による頭打ちを確認し、その金額へ控除率を掛けます。住宅区分の年限度額を適用した後が控除枠です。そこから所得税と住民税で実際に引ける額が決まります。
使い切れない額が表示された場合は、借入を増やしても控除が増えにくい状態です。反対に使い切れない額がなく、控除枠が年限度額へ届いていない場合は、年末残高側で結果が決まっています。どちらも合計額だけでは判別できません。
年収を変える比較の注意
表は給与収入だけを置き、社会保険料を一定割合で自動計算しています。実際の社会保険料やその他の所得控除を入力すれば、課税所得と所得税額が変わります。源泉徴収票などで確認できる金額を使うと、自分の条件へ近づきます。
年収が上がるほど控除額が必ず同じ割合で増えるわけではありません。税額上限を超えた後は住宅区分の年限度額や年末残高が制約になります。複数年の年収変化を予測する機能ではないため、条件ごとに別の試算として比較してください。
返済計画とのつなげ方
控除合計だけで住宅の予算を決めず、同じ借入条件を返済額ツールへ入れます。総利息、年間返済、返済負担率を確認し、控除後の実質負担だけでなく、毎月必要な現金を優先します。控除は後から税額へ反映されるため、毎月返済を直接減らすものではありません。
出典
制度と計算条件は更新日時点で確認しています。